由良野の森 創始者 清水秀明氏の言葉

 

12年あまりの思い                                                       清水秀明 2017/12/27

 

 

 

由良野の森で約12年活動してきました。10年あまり「ゆらの」の会の代表として、約2年を「NPOゆらの」の顧問としてやってきました。顧問はいわば名誉職ですので、実際自分が主体的にかかわったと意識するのは約十年でしょうか。その中でも最初の5年間が、場を作り活動の方向性を決める大事な時期でした。

 

 人の活動はどんな活動であれ、動機と縁で織られます。最も大事なのは主体の動機だと思います。私の思う活動のための動機とは、言ってみれば、主体の思いの純粋さと他者への視点を包含した意識です。それが形となってゆくためには、時期が適切であること人のかかわりが大切ですが、縁という、目には見えない繋がり、関係を形にする力が必要です。

 

 私の場合は、動機、すなわち、なぜ自分はそう思い活動しようとするのかは、人の生きる意味を問うことから来ていました。愛媛新聞の四季録に書きましたが、医療と関わる中で人の生死に直面し、生きる意味を問い「医療と仏教を考える会」の活動に参加させていただき、自分は何をすべきかを問うたことが大きかったと思います。そこに、木立の中の牛がいて、放人がありました。それを支えたのが、由良野の森のホームページに掲載されている「清水秀明代表よりメッセージ」中の、私の幼少時の体験です。自然にはぐくまれ、自然の見せてくれる畏敬とも言えるさまざまな場面と無限の変化に心を打たれた体験です。子供の時の私には‘ハッ’とする瞬間の思いでしかないのですが、それは子供一人一人に違って映るものだと思います。こうした、幼少時から大人になってまでのすべての体験、思いが、自分の為すべき道を教えてくれたと思います。

 

 縁は、動機を形あるものにしてゆくものだと思います。特に人の縁は大事です。現実に物事を動かすのは、人ですから。これも四季録に書きましたが、二名に土地があることを教えてくれた新和工業の大野さん、土地を得た後、由良野の森で自然界の采配をしてくれた、甲斐さんの紹介による山本栄治さん、森で人間界の事を主にやっていただいた鷲野宏さん陽子さんご夫婦との、阪神淡路大震災後の松山ユースでの出会いも縁によるものでした。今は故人となられた玉木先生は県病院時代からの知り合いで、福水さんは銀行にお勤めでしたから会計の相談に乗ってもらいました。ゲストハウスの設計をしてくれた大興建設の大西さんは私の病院の関係、大工の勝本さんは鷲野さんの知り合い、由良野の森で陰ひなたなく協力してくれるコンピュータ医者の久万川さんは、彼の奥さんの江利子さんが私の病院の事務をやってくれていたという、すべてが縁によるものです。また、「ゆらの」という任意団体を始めるには、藤原先生主宰の「医療と仏教を考える会」での会の運営が参考になりました。「ゆらの債」を発行する時は、岐阜で「アブラムの会」を主宰している大郷さんの「アブラム債」を参考にさせていただきました。すべて自分の体験が基になっているのですが、縁に由るものだと思います。

 

 これまでの由良野の森での活動、行いは、今後どこかに「由良野の森とそこでの活動の沿革」として載せていただけると思いますので、これ以上は長々と述べません。新しく発足した「特定非営利法人 由良野の森」が、今後活動を広げてゆくようになったとき、改めて、活動主体はなぜそうするのかを問い続けて行って欲しいと思います。